<画像略>時雨沢恵一「キノの旅 ― The beautiful world」
http://www.amazon.co.jp/dp/4840215855主人公のキノは、人の言葉を話すモトラドのエルメスと共に旅をして、いろいろな国を訪れる。
この作品に出てくる国々は、どこも歪んだ社会観念を持っています。
現実的にはあり得ないほど極端なものばかりですけど、現実の人間社会の社会通念や価値観の持つ傲慢さや不条理さを強調したものなんですよね。
著者の強い皮肉が込められています。
それぞれの国の考え方は一般的な社会通念からすれば何か間違っているのですが、その国の中においてはそれが常識であり無くてはならないものでもあるし、そうした価値観の下で人々は幸せな生活を送っていたりもする。
読者が普段当たり前だと思っている社会通念を、もう一度考え直してみる切っ掛けになると思うし、この作品がなかなかの人気を呼んでいるのも分かります。
残念なのは主人公や住人達の説明的すぎて会話が不自然なところでしょうか。
例えば、
>「しかし我々は、戦っても勝てません。
>そこで誰でもいいから、この場合はたまたま通りかかった貴方を
>いたぶりながら殺して、この憤りをほんの少しだけ晴らしたいだけなのです。
>別に貴方が悪いのではありません。運が悪かっただけです」
(本文より引用)